◆お菓子の扉を開けて・・・
世界は、一皮ずつむけていきます。
今の時期、野山は、夏繁盛したものが分厚い角質層になったあり様ですが、これも一時のこと。石鹸やタオルでゴシゴシやらずとも、ほぼこなれて行きます。
人の手が入ることによって「ほぼ」は「確実に」へと変わります。里の景色の更新は、人手によって正確に繰り返されてきたのですが、近年では、そこここに、原野の風景が点在しています。物悲しい、しかもうらぶれていく風景の中に、彼岸花が咲いて、柿が色づいています。いつでも、同じところに灯るその赤や朱は、のっぺりとする風景のアクセントになり、じんわり安らぎを与えてくれます。
こんな秋の日に、豆花さん(白崎裕子さん)のお菓子の本が届きました。お菓子って、日常生活の中で、風景の中の果実や花などと同じような作用をするのだな、と、今回あらためて感じ入りました。
作らずとも食べる前から幸せになります。感謝です。(晃)
★白崎裕子さん著『かんたんお菓子』(WAVE出版 1,575円) アマゾンのページ
は、「情熱の料理発明家・白崎裕子のまったくあたらしい、スイーツレシピ! 安全で、だれでもおいしく作れることを追求したレシピは、究極のシンプル。バターも卵も乳も砂糖もいっさい使わず、少しの工程で、ラクに作れます。」ということで、発売後2週間の現在、Amazon ベストセラー商品ランキング: デザート・スイーツの本の部門で、見事第一位です。私も、「きな粉クッキー」と「カスタードクリーム」と「乳化のコツ」のページに付箋を付けて、やる気満々です。(泰子)
◆ ヨトウムシのご縁
さて昨日、最後の白菜を植えて、育苗ハウスは閑散とし、露地の畑ではいくつかの葉物の蒔きつけと数種類の定植を残すのみ、あとは、草取り虫取りで、師走を迎えることになります。防虫ネットをめくっては、少なめといえども侮れないヨトウムシを捕殺しつつ、2年前のすさまじいヨトウムシ禍のことを、たぶん小説としては本邦初で『雪と珊瑚と』(アマゾンのページ)という作品で書いてくださった、梨木果歩さんのことを思い出します。
梨木さんは、最近、主に農家が読む「家の光」という雑誌に書いたエッセイで、取材先の農家として、「脳ミソの何%かは、常に放射能の影響下にある」うちのことにふれています。
「人が変わるとは、こんな風なのでしょうか。この国の多くの人が、私のように、あるいはもっと差し迫った理由から、大きく変わらざるを得なかったのだと思います。」という晃の文章も引用してくれていて、大きな見えない気配で応援してくれているような気がしました。
この雑誌は農協の金融機関窓口に常備されていることが多いのですが、その農協が全国大会で「脱原発宣言」をするというニュースが入りました。 福島や東日本をはじめ、去年の原発事故で苦しんでいる農家と共に歩む覚悟を表明したJAを、組合員の一人として、誇りに思います。
左は、東京新聞10月5日の一面の見出しです。「「JAの使命は、安全な農産物を将来にわたって供給すること。原発事故のリスクを抱えたままではその使命を果たせない」と、脱原発を新たな活動方針とする理由を説明した。」とあります。 (泰子 10月12日~月曜発行が金曜日まで延びてしまいました。)