◆ 身も心も暖まる話
凍てついた冬の朝は、山芋掘りに限ります。陽が当たる畑とはいえ、気温は2,3度あるかどうかです。
スコップで表面の凍りついた土3~4cmをひっぺがすと、山芋のてっぺんの、今から用意された芽が見えます。夏の干ばつの影響でしょうか、掘り出した芋はどれも小ぶりです。そうは言っても、土の中の姿勢は十人十色。腕を伸ばしたり足を投げ出したり、肩までは見えてもその先は想像できないのです。“予断は禁物”と、離れたところから外掘りし、芋を引っぱっては手応えを確かめ、と、じょじょに進めます。着込んでいた上着を脱ぎます。
そんな時です。裏返しになったカエルが見つかるのは。白い腹を上に、ゆっくりもがく姿を見ては、いつも声を上げてしまいます。生の命、ヌラリとした肌が、北風にさらされる様は、寒々しく、ほっておけません。畑の隅っこ、春まで掘り起こす気づかいのない、北風がさえぎられた日溜りへ緊急搬送。土をかき分け、彼らを放り込み、落ち葉のふとんをかぶせます。
いつだったか、山芋を掘っているのかカエルを掘り出しているのか、わからないような冬もありました。
こんな風に、相変わらずの野の扉の新年が始まりました。今年もお付き合いの程、よろしくお願いいたします。(ちっとも暖まらない話で申し訳ありません。 晃 )
◆ めのある話
続いては、里芋について。昨年、出荷はじめに大不作をお伝えしましたが、掘り進むと、芋が小さいだけでなく「芽もない」芋の何と多いことか。地表に近く、比較的大きく太った芋のてっぺんが、欠けて陥没していることが多いのです。以前もしばしば見られたことで、コガネムシの幼虫にかじられたのか、と思っていたのですが、近所の仲間が調べたら、日照りと高温が原因の病気(芽つぶれ症とか)なのだということでした。
傷ついた芋は寒さにも弱く、この厳冬で年内から凍傷で出荷できないものも多いですし、よい芽が残った芋を種にしなくてはならないので、20年近く自家採種してきましたが、この春は種イモを購入しなくてはならないかも。
でも、里芋は、頂芽からだけでなく、肩の方に散らばる小さな芽からも、発芽する力があります。どっこい、芽はある、と思って、今年も頑張っていきたいです。
◆ 環境整備大作戦
写真に写っているのは、私たちのメインの二つの畑の間に位置する、地主さんの家です。うちが借りている畑とこの家の間の10年ほど放置された地所に、しの竹と竹が繁茂して、長さ5,60メートル幅20メートル高さ4,5メートルほどの先が見えない藪となり、細い道を隔てた畑にまで侵入してくる勢いになっておりました。
夏の終わりから、近所の篤志の方が少しずつ刈払っては燃やしてきれいにする作業をしてくれていて、12月からは、うちやほかの方も参加して、とうとうここまで追い詰めた最後の光景が、この写真です。ボランティアですが、こういう作業が、イノシシ被害を食い止める最善の方策なのだと思っています。秋には畑を横断していたイノシシが、とんとやってこなくなっています。(1月5日 泰子)
ちなみに、12月の初め、まだ、家が壁に阻まれて見えていない時期の写真が↓です。右手に白いハウスが写っていますが、これも以前は見えなかったです。おとといは、飯田さんイベントの参加者と功労者のSさんとで、刈払っておいてあったしの竹を、みんな燃やして、すっきりしました。(1月14日)