特定秘密保護法とTPPなどについて、「寄居町耕す人の会」ニュース13号(2013年10月26日発行)に、晃が寄せた一文を掲載します。
下の画像は、T・Yさんが描いたニュースのさし絵です。「寄居町耕す人の会」とは、2011年の夏、3・11をきっかけに、自然エネルギー推進・原発国民投票実現を願う地元の人々によって始まった会です。(寄居町議会への請願についての詳細は、個人ブログのこの記事やこの記事、この記事などにあります。) 現時点での最大課題は、「イノシシ対策」です。(11月28日)
守りたいのは、秘密だと言います。
中身が空っぽと知れる証、汚れていると教える数字、裏切り背信の証拠を秘密にする国となろうとしています。それから、米国にならって、国民を隅々まで監視する国になろうとしています。法や規制に守られて横たわる"岩盤"には、ドリルで穴をあけ、企業の活動がたやすく浸透するように変えるのだと言います。
強いものが牛耳る、経済、市場原理、が第一、というわけです。手に手を取って、思い思い立ち並び、迷路を作り上げ、企業利益優先の投資家に待ったをかけて立ち止まらせるのは、障害で、差別的で、けしからん、ということです。
私は、地域の生き生きした営みを取り戻したいと願うだけ。落ち着いた当たり前の生活を皆で実現したいのだけど。「ぬくぬくと昨日までの当たり前にしがみつくなまけ者」と言われ、「戦う! 勝ちに行く! 攻める!」と叱咤するお偉方の言ってること、「積極的平和主義」みたいに、意味わかりません。
よく、経済がよくならなければ、と、いわれます。私は、たとえば、幾筋もの小さな流れが、地域をうるおし、それらが集合し、大きな流れを作り蛇行する、その流れから取り込まれた水が、今度は広大な地域の人々の生活をうるおす、というありふれた自然を手本としたいと思います。が、実際には、吸い上げられかき集められた流れが、一直線に投資家や大企業に向かって流れるように改修されていくのです。
緩和しろ、撤廃だと、厄介者扱いの"岩盤"は、見方を変えれば、歴史に学ぶ知恵とか、伝統、遺産に関わる、この国の独自性、個性そのもののことです。それらは、映し出された、この国の人々の心に関わるもの、と考えるべきです。
生活の中の一つ一つの当たり前、なんてことない私たちの日々の仕草と、その所産こそ、私たちが目にする風景です。太古から、人々は文物をたずさえ、海山越えて往来し、新しいものが受け入れられたり、忘れ去られたりと、少しずつ景色は変わってきたことと思います。でも、大きく変わった景色の中にも、不変のものがあります。それらが、私たちの原理とか生きる掟といったものを、教えています。
耕す会の活動は、こんな約束を守ることだと思っています。当たり前にやっていくのはそれだけで大変です。当たり前の生活をする個々の人間は、まこと小さいです。それでも、そんな生活のほかに、どうしても必要なものなんてあるのでしょうか。
「いやな時代になった」などと他人事のようにぼやきたくないものです。(伊藤 晃)