ヨトウ話初回にいただいたコメントで、千葉のレインボーファミリーの笠原さんより、BT剤・フェロモン剤の話が出ました。
笠原さん 「ヨトウにも効くBT剤ってありますよね。有機認定でも使用可ということですが、これは効果あるのでしょうか?でも有機農家仲間で使っている人にはまだないので、使わないほうが良いものなのでしょうか?」
茨城のかぜだより、久松さん 「僕が農薬を使わない理由は,環境保全性と自分自身の安全性です。BT剤がこの条件を満たしてるとは思えないのでアウト」「「効果」はばっちりある」
笠原さん 「BT剤が条件を満たしていないとのことですが、その理由について詳しく聞けたらうれしいです。私の調べたところ人体には無害で自然界にある菌を化学的に?培養した物との認識があるのですが」
という流れです。
BT剤の基本的な知識を、と思って、Wikiを調べたら、こんなの
天敵Wiki http://wiki.tenteki.org/index.php?%C5%B7%C5%A8Wiki
がありましたが、これはあとの楽しみにして、
Wikiから抜粋すると、
「BT剤とは、天敵微生物を利用した生物農薬(殺虫剤)の一種。細菌のBacillus thuringiensis(BT)を用いており、菌の産生する結晶タンパク、胞子、両方の混合されたものがある。
チョウ目、ハエ目、コウチュウ目の幼虫に有効。結晶性タンパクが昆虫腸内のアルカリ性消化液で分解されると毒素になり、上皮細胞に作用、幼虫は卒倒病を起こして死ぬ。胃液が酸性である人間には無害。この薬剤は生物農薬に分類されるため、有機農産物の生産に利用可能である。」
商品は、ホームセンターなどでも購入可能のようですね。
うちも、「JAS有機適合か否か」というのは、資材などの選択の際、一つの目安にはしますが、久松さん同様、「農薬」というものは使いませんので、JAS有機適合だから、あれこれの農薬を使う、ということはないです。
BT剤、およびフェロモン剤が、環境保全性を犯すものなのか否か、この辺の論議になるのでしょうか。
なお、笠原さんは、人参にヨトウムシが大発生とのお話ですが、これは、前作の処理および作付け前の草処理の問題か、と思うのですが。人参は、被覆資材なしで作りますが、早い時期に芯食い虫が入るのは、飛来しての産卵によるのでしょうが、ヨトウムシがそこまで被害をもたらすとしたら、飛来して人参に産卵してからの繁殖というより、土の中に卵あるいは幼虫が生き残っていたと考えられます。
物理的・耕種的方法で、虫と対峙する、というのが、「有機」の基本かと思います。なかなかそうできないことが多いですが。
これは、仮説ですが、久松さんの畑で、「虫見」が必要ないのは、「米ぬか」の散布による効果かと。これについては、また。
皆様のご意見・情報をお待ちします。(「病み上がり」なのでこの辺で)
トピ立てていただいてありがとうございます。今回人参は太陽熱殺種の後に播きました。前作は玉ねぎとほうれん草でした。ビニールを被せる前に平飼い鶏糞を施肥したのですが、ビニールを剥がしたときに普段はない堆肥臭がしたのですが、これもヨトウムシの発生に関係しているでしょうか?同じ圃場の白菜、大根、小松菜などにはほとんどヨトウムシの被害は見られません。アドバイスよろしくお願い致します。ちなみにニームはどうの様に考えますか?
投稿情報: レインボーファミリー | 2006/10/26 21:33
「普段にはない堆肥臭」というのは、普段のように太陽熱処理を「した」場合に比べて、ということでしょうか。それとも、「しない」場合に比べて、なのでしょうか。
同じ圃場のヨトウが出なかったほかの作物も、太陽熱処理してあるのですか? 前作も同じですか? 処理の時期も?
太陽熱処理のことは、かぜだよりさんがプロです。実際のところは、私にはわかりませんが、太陽熱処理するしないより、耕運のタイミングの方が大きな要因ではないかと思っています。
ニームは使ったことがありません。使う予定もありません。
昔、夏野菜の育苗のアブラムシ対策で、「馬酔木(あしび)」の花を煮出した「自然」農薬を使ったことがありますが。
そんなに、ひどくたからせない、方向(物理的な防除の徹底、観察を怠らないこと)で、対処するようになりました。
あんまりお役に立ちませんが。
投稿情報: とびら | 2006/10/28 05:07
>「普段にはない堆肥臭」というのは、普段のように太陽熱処理を「した」場合に比べて、ということでしょうか。それとも、「しない」場合に比べて、なのでしょうか。
しない場合に比べてです。
>同じ圃場のヨトウが出なかったほかの作物も、太陽熱処理してあるのですか? 前作も同じですか? 処理の時期も?
していません。処理の時期は6月上旬から7月の人参播種時までです。
投稿情報: レインボーファミリー | 2006/10/28 06:32
レインボーファミリーさん、
もしかしたら、研修先が栃木のウィンドファミリーさんなんでしょうか?
昨日、滅多にないことなんですが、このブログを読んで、「お前ら」じゃない、「てめえら」だ(前記事参照)、などといっていた夫が、有機認証関係で上田さんをお見かけしたことがあるそうです。
話がそれました。
7月蒔きの人参ですか。いま、虫取り最盛期のように伺っていたので、8月蒔きかと。
うちも、7月蒔きで(去年まで太陽熱はやっていません。今年ちょっとやってみました)、ヨトウがひどくなったことは何回かあります。その場合、土の中でサナギで越夏していたヨトウが羽化して、その辺の人参の葉っぱに産卵した、と考えました。でかくなって土の中にもぐってしまったのをほじくりだして捕殺した記憶が。
どんどん、人参の作付けを遅らせてきたし、前作の処理がうまくなった(夫が)からか、そこまでヨトウがでかくなることはなくなりました。
今年も、7月末から8月初旬の作に、けっこう主に白ヨトウ(シロイチモンジヨトウ)の小さめがいて、除草間引きのときに、地面に落ちたのをプチプチやっつけました。取り残した奴らも、大雨の後に、「ミイラ化」して葉っぱの先に吊り下がっていましたし、人参の生育に影響を与えるほどのことはありませんでした。
人参はいいんですけどねえ、白菜は、何度見ても、「安心」できないところがあり、疲れます。
投稿情報: とびら | 2006/10/29 05:33
研修先その通りです。1年ほど夫婦住込みで研修させて頂きました。尊敬する上田さんの農場からファミリーをいただいて、レインボーファミリーと名付けました。
前作の処理のコツと言うか、どのようにされているのでしょうか?アドバイスよろしくお願い致します。こう言った質問が出来るコミュニティーがミクシーなどでも作れつと良いですね。
投稿情報: レインボーファミリー | 2006/10/29 20:47
いつも拝見させていただいています さて ニームですが 以前パーマカルチャーのイベントで どこかのお偉い先生がニームの研究をしていて その話をしていました もとはインドで いなごが大量発生して 木や食物を根こそぎ食い荒らしていくのに ニームの木だけが ぽつんと残ったそうです かなりの効果はあるようです ただ ニームの木自体は日本では 寒くて越冬できず栽培はできません 市販で売られているものはありますが 高いですね また 僕は直接ニームの葉を購入して 自分で煮出してやってみようかと思ったこともありますが そうしたやり方だと どれくらいの量が必要かとか 希釈の倍率もとんとわからず またそうしたことを やっている人も今のところあまりいません で 結局実践には至らずじまいでした 参考にはならないと思いますが・・・・
投稿情報: 七沢農園 弓です | 2006/10/30 21:03
笠原さん、
「前作の処理のコツ」について、
「もう何年もやってられるんだから、お伝えするようなことは特にはない」という夫です。
私から見ると、なるべく早くハンマーナイフで叩いてから、きれいにする、ということくらいでしょうか。
あと、うちは人参にはたいてい肥料は入れません。前作の残りと残渣(アブラナ科の場合が多いでしょうか)の「緑肥(?)」だけです。
パーマカルチャーの先生、弓さん、ニームのこと書き込みありがとうございます。
やっぱり、こういうものも、身土不二、ということでしょうか。
じゃあ、ネットやパオパオなんかの資材はどうなんだ、ということにもなりますが。
今、あちこちで「ミイラ化」している、土着のBT菌にやられたヨトウムシの死骸をもとにすれば、強力な自家製殺虫剤が製造できるんでしょうが、夫が「そういうのは嫌いなんだ」ということで、うちではやっていません。千葉のほうでは、使っている方がいるそうですが。
投稿情報: とびら | 2006/10/31 05:19
「ミイラ化」した物をすりつぶして溶かして撒布する方法は僕も千葉の林さんに伺ったことがあります。確か「こじゃり」と言うそうです。
僕なんかは意志の弱い人間なので,BTでもニームでも,そういう「奥の手」を自分に与えてしまったらもう歯止めが効かなさそうです。以後虫を見るたび資材の事を考えてイライラしそう。「あーちくしょう。手使いてーなー」と思いながらサッカーやってるみたいなもんでしょうか。
投稿情報: ひさまつ | 2006/10/31 08:13
ルールは、必要ですよね。
手は使えないけど、頭は外側も内側も使えるし。うちはもう、年々薄く(?)なっているけど。
百姓は、自分の作ったルールを盲信することでしか続けられない、というところはありますが、
BT剤とか、フェロモン剤、紙マルチや、生分解性マルチの「環境保全性への影響」ということについては、有機農研もしくは有機学会とかで、一定の見解をきちんと出して欲しいです。
もうどこかで出ているのか?
でないと、こういう人の
http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji_mtng_itiran.jsp
「科学的な」農薬・遺伝子組み換え・食品添加物擁護に、足をすくわれるかもしれません。
この「FoodScience」というサイトは、最近急に、有料会員のみ読める設定になりました。
もう、イライラさせられなくていいようなものですが。
参考記事
◎ある「サイエンスライター」への反論 [2005年10月29日(土)]
http://blog.drecom.jp/nonotobira/archive/197
◎鳥インフルエンザ~検体偽装 [2005年12月28日(水)]
http://blog.drecom.jp/nonotobira/daily/200512/28
の中では、チラッと触れているだけです。
投稿情報: とびら | 2006/11/01 05:15
このテーマも絡んで昨日学生に話す機会がありましたので近々ブログに書きます。
農薬の最大の問題点は生態系への悪影響で,特にそれが農業の成果そのものに跳ね返ってくることだと思います。しかしそれは「程度」の問題なので,容認という立場があっても全然いいと思います。どんな資材でも使うメリットとデメリットをどう見るかの判断なので。最終的には出来た物で勝負するしかないです。
残留農薬の食べる人へのリスクは今ではほとんどないと僕は考えています。この点は松永さんの主張に近いです。しかし未だに,慣行の農産物は危険だ,と言う意見もたくさんあります。残留性に関する(安全だという)データははっきり出ているので,それを覆して危険性を主張するには根拠が必要です。ここをおろそかにしていると,有機農家が一番時代から取り残されていく事になりかねません。
投稿情報: ひさまつ | 2006/11/01 23:52
あと,「有機農研の見解」を根拠にモノを語るのはあまり意味がないように思います。世間では権威のある団体ではないわけだし。
法的には責任は全部自分にあるわけですしね。
投稿情報: ひさまつ | 2006/11/01 23:57
久松さん、
遅くまで起きていますね。
「残留農薬の食べる人へのリスクは今ではほとんどないと僕は考えています。」
私もそんな風に「感じ」ますね。食べ物自体への残留性のリスクの高低について、語りたいとは思っていません。
その一節以前の久松さんの文章については、飛躍がありすぎて、私にはよくわかりません。ブログの記事を楽しみにしています。
有機農研については、世間的な権威だから、見解を出して欲しいとおもっているわけではありません。うちも会員(平の購読会員に過ぎないが)なので、要望として、百姓している身では調べきれないことを代わりに調べてまとめてくれるといいなあ、という要望を持っているだけです。
でも、直接口を出すと、すぐ、埼玉県幹事の候補にされたりしそうなので、こんなところでつぶやいているわけです。
投稿情報: とびら | 2006/11/02 05:25
ブログに何となくアップしました。
投稿情報: ひさまつ | 2006/11/03 21:24