日記はおろか、週刊にもなっていないブログです。
ずっと気になっていた、有機農業推進法がらみの埼玉県での動きについて、書きました。今晩の「よりい輪組」の月例会で報告するため、ということでまとめてみました。
各県で、このような動きがでているようです。19日に配られた資料では、山形県での同様の協議会設立書とか、新潟県県議会での有機農業振興の決議とかがありました。
いろいろな資料に目を通す時間もなく、考えをまとめることもできないのですが、持っている情報は開示したいと思い書きました。
問題は、誰が有機農業者であるかを認定するのか、なのかなあ、と漠然と思います。JAS有機とダブルバインド(使い方間違っている?)となってはいけないし・・・
直接補償に走ると、「補助金取り」みたいになっちゃうだろうし。
以下長いです。
埼玉県有機農業者協議会(仮称)準備会に参加して
小川町にて4月19日開催。出席者は、有機農業者19名・農業団体関係者7名(非農業者)・研修生3名でした。
私は、日本有機農業研究会の埼玉県会員として、参加の呼びかけをもらいました。呼びかけ主体は、昨年8月に有機農業推進法制定へ向けた活動や有機農業振興のための具体的な政策提言を行うために発足した、全国有機農業団体協議会がらみと思われます。
この全国有機農業団体協議会は、IFOAMジャパン、自然農法国際開発研究センター、秀明自然農法ネットワーク、全国愛農会、日本有機食品認定連絡協議会、日本有機農業学会、日本有機農業研究会、農を変えたい!全国運動、有機JAS登録認定機関協議会の9団体で発足、当初の代表は日本有機農業研究会理事長の佐藤喜作氏でしたが、現在は小川町の金子美登さんです。 参加者の農業者はこれらの団体に所属する方だったようです。また、流通の「大地」の関係者と生産者が人数的には多かったです。
いろいろな資料をいただき、討議がなされて、以下のようなことが参加者の合意を得ました。
○埼玉県有機農業者協議会(仮称)の主体は有機農業者であり、関係者及び非農業者は、賛助という参加形態が望ましい。
○この際の、「有機農業者」は、有機JAS認定の枠に関らず、有機農業を実践している、あるいはこれからやりたい人と、広く解釈する。
○個人でも団体でも加入できる。
○農水省が起案した「有機農業の推進に関する基本的な方針」に沿って、運動を進めていく。
○5月22日(火)13:30~ 埼玉県庁で会の立ち上げ式を行う。
○その場で立候補した7名の執行部(世話人)が、4月26日(木)小川町で第2回準備会を行う。
所属団体の異なる農業者が、横断的に顔をあわせたことに、今回の会議の意義があったと思いました。百戦錬磨みたいなツワモノの横顔を垣間見ることができました。
参考までに、有機農業の推進に関する法律では、
(定義)
第二条
この法律において「有機農業」とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。
(基本理念)
第三条
有機農業の推進は、農業の持続的な発展及び環境と調和のとれた農業生産の確保が重要であり、有機農業が農業の自然循環機能(農業生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。)を大きく増進し、かつ、農業生産に由来する環境への負荷を低減するものであることにかんがみ、農業者が容易にこれに従事することができるようにすることを旨として、行われなければならない。
この「農業者が容易にこれに従事することができるようにする」などのための基本方針というのが、農水省が作成した「有機農業の推進に関する基本的な方針」で、これを受けて、各都道府県は5年以内に有機農業の推進のためのしかるべき施策を策定しなくてはならないわけです。この基本方針には、上記の「全国有機農業団体協議会」の提言(2007年1月付の資料集が当日配布され、大変参考になりました。ネット上には見当たりません)がずい分と取り入れられているように思われました。
その行政に向けて、農業者の立場から、具体的に要望を出していくための「埼玉県有機農業者協議会」という位置づけになります。
何らかの団体に属するか、流通への出荷をしていない個人の生産者には、どのように、呼びかけがなされるのかわかりません。興味のある方は、5月22日(火)13:30~ 埼玉県庁で会の立ち上げ式に参加されてはいかがでしょう。
資料
有機農業推進法(平成18年12月)
http://3gatu.net/jp//media/file_20061226T195602875.pdf
有機農業の推進に関する基本的な方針(平成19年4月)
http://www.maff.go.jp/www/press/2007/20070427press_5b.pdf
有機農業の現状と課題(平成19年2月)
http://www.maff.go.jp/soshiki/seisan/seisan_bunkakai/05/ref_data01.pdf
情報アップありがとうございます。
小川の田下さんや吹上の江原さんから会のことは聞かされていたのですが出席できずにいました。
5月の終わり頃に寄居の農家にヤギの子供をもらいに行きます。お忙しい時期
と思いますが少し野の扉にごあいさつに伺えれば、と思います。
投稿情報: 雨読晴耕村舎 後藤 | 2007/05/01 23:20
後藤さん、
お久しぶりです。
今回の「有機農業推進」が、タダのバラマキ行政に終わるのか、確かな実を結ぶ方向(どんなものか私には見えませんが)に向かうのか、「生産者の力量」が問われているのかもしれません。
うちの方には、ぜひ足をお運びください。いろいろ教えてください。
当方、今年もニンニクが病気っぽいです。やはり畑を選ぶんでしょうか。いろいろな品種を試しても、うまくいきません。
つぶして冷凍したニンニクもなくなって、店で買わなくてはいけないのがしゃくです。
投稿情報: とびら | 2007/05/02 05:07
ダブルスタンダード の方がわかりやすいのでは?
私は有機農家なんだろうか? なんて、どうやって決めるのでしょうね。非常にゆるやかなフレームになるのではないでしょうか。
投稿情報: とりのさとZ | 2007/05/02 08:17
とりのさとさん、
とりのさとさんの言う、ダブルスタンダードの意味するものが今ひとつわかっていませんが、
上記の参考の資料の、
有機農業の現状と課題(平成19年2月)
http://www.maff.go.jp/soshiki/seisan/seisan_bunkakai/05/ref_data01.pdf
の中の22ページに、「有機農業の推進に関する法律と有機JAS農産物の関係」という項目があります。
ここを見ると、ひとつのダブルスタンダードのあり方が整理されていると思います。
これと別に、「栽培中:禁止された農薬・化学肥料を使用しない」という大前提の中の、ダブルスタンダードもあると思うのですが。この件については、今は詳しくかけません。
投稿情報: とびら | 2007/05/03 05:18
とびらさん
22ページではなく24ページですかね。
「農法」としての有機とJASを区別するわけですね。ますます分かりにくいですが。
投稿情報: かぜだより | 2007/05/03 13:25
かぜだよりさん、
(表紙と目次を入れると、24ページですね)
わかりにくい上に、「自己申告」なわけで。
なんらかの第3者認定が必要なのでは、と思いますが。
特別栽培物みたいに無料の。それを、経験のあるJAS有機認定機関が請け負うとか。国の費用で。
いずれにしろ、生産者の負担は増えるでしょうが、経済的な負担はない方向にして。
投稿情報: とびら | 2007/05/04 05:04
ご利益がないのなら認定してもらう必要もないですが^^;
投稿情報: かぜだより | 2007/05/04 06:53
赤しそやバジルの植え付けが終わり
一服休憩です。
新居に移られても畑はそのままですよね?
有機の基準とかは僕はあまり研究して
いないのですが・・・・・
茨城の農家で霜尾ファームというところは
自前で直接農産物の分析をしていました。微量の農薬も重金属類はもとより
栄養素なども直接はかれてしまうようです。
コストはかかるのですがこれなどはもっとも単純でわかりやすいやりかたかもしれません。
もしこのやりかたがいいようなら
そのコスト面を行政などが負担するような
しくみをつくるといいのかもしれません。
投稿情報: 雨読晴耕村舎 後藤 | 2007/05/04 09:33
かぜだよりさん、
「ご利益」を作り出そう、という動き方をするようです。
後藤さん、
ずいぶん大変そうです。多品種少量栽培の場合、畑ごと、個人ごと、まとめてどん、でないと、むずかしいです。
非常に「科学的」客観的な指標でしょうが。
投稿情報: とびら | 2007/05/05 05:16
ご利益のための新たな認定制度(仮に「推進物」と呼ぶ)が出来るとすると,
1.JASかつ推進物
2.JASで推進ではない
3.JASではなく推進物
4.JASでも推進でもない
という4種類のパターンがあるということになりますね。
有機農業推進法は議員立法ですっと通ってしまったようですが,つい昨年まで農水省は,「現行のJASと環境保全型農業推進策(エコファーマーなど)で十分だ」という立場をとっていたわけで,どの程度具体的にやるのか。農業者にとってインセンティブになるほどの補助金が出るとは思えないのですが。。今のエコファーマー程度の物に補助金を出すとなるともうバラマキ以外の何者でもないですね。
投稿情報: かぜだより | 2007/05/05 05:36
「有機農家」に直接補助金を出すというよりも、たとえば100%生分解性マルチ使用に補助金をつける、などというふうでしたら、いいんですけどね。
有機農家は小さいながらも(最近の新規就農援助を除けば)、国からは何も補助を受けていないので自立しているのだから、農水省もここを評価してほしいところですよね。
投稿情報: とりのさとZ | 2007/05/05 10:52
かぜだよりさん、
整理していただいてありがとうございます。
「インセンティヴ」とは、「ものごとに取り組む意欲を,報酬を期待させて外側から高める働き。意欲刺激。誘因。」だそうで。
やる気にさせる見返り、といったところでしょうか。
そんなものは外から注入されなくてもいい、という方がほとんどだと思います。推進、ということでいうと、そうなるのでしょうが。
ムード的に有機農業・農産物を持ち上げて、「ばらまき」になって終わり、では、情けない・・・
とりのさとさん、
資材への補助なら、ネットにかけてほしいですね。
投稿情報: とびら | 2007/05/06 05:42
「生分解性マルチ 補助金」で検索してみてください。補助金の実績がすでにあるのですよ。
マルチは消耗品ですが、ネットは備品になるでしょう。グラウンドシートとか、いろいろ希望はあるでしょうがら、アンケートもありでしょうね。
投稿情報: とりのさとZ | 2007/05/07 18:36
生分解性マルチの「キエ丸」に補助金が出ている、というのは、昔聞いたことがあります。県単位での取り組みなので、うちの埼玉では関係ないな、と、そのままにしていました。
で、この前の記事のコメントの内容につながりますが、jas有機の認定機関によっては、生分解はアウトです。そういう資材に有機農業推進のために「公的」に補助を出す、というのは、矛盾では。
生分解のこれこれのメーカーのものはセーフ、という「公的」認定が出るなら話は別ですが。
何が、環境への負荷を軽減させる農業のために、必要なものなのか、考えなければなりませんね。
ただ、有機農家の労働の軽減のため、というのでは、筋が通らないでしょう。
当方では、今でも、ポリマルチの回収の費用の半分は、公的に補助されています。でも、「農家」でなくては利用できないし、面倒です。それなら、販売価格に含ませる(?)ようにして、販売店が回収のポストになる、という風にしてもらいたい。
もし、環境云々ではなく、有機農家が生存(ここは、大文字にしたい)できるようにするための施策なら、「有機」だといって販売できるようにする、jas認証の費用を肩代わりする、というのは、いかがかと。
投稿情報: とびら | 2007/05/08 05:26
ちょっと前の情報ですが,米国ではOrganic認証費用は年間収入5万ドル以下の零細農家は無料だったはずです。そういう施策もあり得ますね。
ただしそれが有機農家の「生存」に寄与するかは大いに疑問です。僕はダメだと思います。JASマークを付けている物が十分なプレミアムを取れているとは思えませんので。
上述の農水の資料では表示の問題とは区別して「農法」を推進ということになっているので,生産プロセスでの支援ということになるのでしょう。個々の農家に申請させて許可が下りて云々というのは費用がかかりすぎるので,生分解マルチのようにメーカーに対する開発支援あたりが現実的なのではないでしょうか。側面支援にしかなりませんが。補助金がないとやっていけないような人ばかりが有機農家ではそもそも未来はないでしょう。
それよりも本当は環境デカップリングのような形で,「環境保全型農業は換金できないいろんな物を生んでるのよ」というアナウンスをした方が長期的には持続可能な農業の推進に効果があると思います。
いずれにしても「自分達は特別なんだ」という有機農家の意識は「推進」にはむしろマイナスです。逆説的ですが。そういうのは心の中で思うことにして(笑),減農薬の人たちと広く連携した方がメリットも大きいと思いますが。
投稿情報: かぜだより | 2007/05/08 06:01
かぜだよりさん、
「JASマークを付けている物が十分なプレミアムを取れているとは思えません」
これに対して、「有機農産物のすばらしさ」を消費者にアピールする、というのも、今回の推進方の方針として掲げられてますね。でも、大方の(有機野菜の)消費者は、「無農薬の体にいい野菜」を求めているだけではないでしょうか。
「「自分達は特別なんだ」という有機農家の意識は「推進」にはむしろマイナスです。逆説的ですが。そういうのは心の中で思うことにして(笑),減農薬の人たちと広く連携した方がメリットも大きいと思いますが。」
同感です。
でも、「100年に一度のチャンス到来」ということで、彼我の違いを言い立てることが戦略だと思う方が多いような。
全体としての農業、専業兼業含めての農家が、どんどん衰退していけば、環境保全は不可能になるのに。顧みられなくなった地域の荒廃は、もう手がつけられない状態でしょうに。
投稿情報: とびら | 2007/05/09 05:04
とびらさん
「生分解性マルチの「キエ丸」に補助金が出ている、というのは、昔聞いたことがあります。県単位での取り組みなので、うちの埼玉では関係ないな、と、そのままにしていました。」
ちょっと検索で見れば、こんなこと書かないです。市町村単位で利用者に補助が出ています。そちらの埼玉の所沢でも。
「で、この前の記事のコメントの内容につながりますが、jas有機の認定機関によっては、生分解はアウトです。そういう資材に有機農業推進のために「公的」に補助を出す、というのは、矛盾では。」
認定機関が姿勢を変更すればよいだけのことです。「公的」が上部なんだから。
「ただ、有機農家の労働の軽減のため、というのでは、筋が通らないでしょう。」
地方自治体から補助が出ているのは、そういう目的ではないです。しらべてください。
JAS表示したから売れているかどうか、は疑わしいです。流通サイドでの感想は聞いたことがありますが、生産者サイドのはあまり聞かないので、利用者の声を知りたいですね。
投稿情報: とりのさとZ | 2007/05/10 06:13
とりのさとさん、
すみません、検索かけませんでした。
たとえば、所沢の事業として、
http://fst.city.tokorozawa.saitama.jp/reiki/reiki_honbun/ae30913661.html
のなかに、このような記述がありますね。
「土壌微生物により分解・消失するマルチフィルムの利用により、プラスチック類農業廃棄物の低減を図るとともに、マルチフィルム除去作業の省力化を図る。」
これは、平成14年度のもののようです。現在の実績はどうなんでしょう。サトイモ、枝豆、とうもろこし、に適用とありますね。
ポリマルチの回収より、生分解を土壌にすき込むほうが、「環境にやさしい」という研究(?)結果がどこかにあれば、ぜひ教えてください。多面的に調べたものとかあれば、ぜひ見てみたいです。自分では調べる余裕がありません。
「JAS表示したから売れているかどうか、は疑わしいです。」
生産者にとっての価格的なメリットはないんじゃないか、というような気が漠然としています。でも、そうしないと(なにか、プレミアムがないと)、売れない(希望価格で)、という時代がすぐ来るのでは、という気もします。
同じ価格なら、無表示のものよりJAS有機のものを買う、といった感じでしょうか。
同じ価格なら、自己申告の無農薬野菜セットより、JAS有機のセットを買う、という・・・
投稿情報: とびら | 2007/05/11 05:02
http://72.14.235.104/search?q=cache:-9lSNbic8pgJ:www.alps.pref.nagano.jp/hukyu/99-2/992h11.pdf+%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E3%80%80%E5%9B%9E%E5%8F%8E&hl=ja&ct=clnk&cd=13&gl=jp&lr=lang_ja
ポリマルチは「回収」後は再利用はほんの一部で、ほとんどが埋め立て、焼却されています。
100%生分解性マルチは微生物分解に時間がかかっても最終的には水と炭酸ガスに分解されます。
なお、ポリマルチは焼却すると、NOx, SOxガスを出す他、高熱のために、焼却炉を傷めます。
これが基本で、回収作業には労力もコストもかかります。
投稿情報: | 2007/05/12 08:50
前コメントは、とりのさとさんでしょうか。
「ポリマルチの回収後の再利用はほんの一部」というのには、驚きました。手間とお金をかけて、埋め立てたり焼却しているとは。
公的機関が言うのだから、本当なのでしょう。
ちょっと検索したら、こんなのが出てきました。
http://www.mate.pref.mie.jp/kankyo/plastic.htm
三重県の「農業用使用済プラスチック適正処理基本方針」です。
「食料・農業・農村基本法」の施行にともない、各自治体でこのような方針が出たのかな、と思いますが、実態はとりのさとさんがおっしゃるままなのでしょう。なかなかよいことが書いてあるのですが。
今度、マルチ類に対するうちの現在の見解みたいなものを文章化しようと思います。夫と何度か話したのですが、私はすぐ忘れてしまう(思想が血肉化できていないから、といわれます)ので。
そのとき、またよろしくお願いします。
とにかく、草とどのように対峙するかが、有機農業の鍵、ではあります。
投稿情報: とびら | 2007/05/14 04:41