「高度に洗練された(??)虫対策」をとっているはずの、「野の扉」においても、ヨトウムシ(ハスモンヨトウの幼虫)による被害は、いまだ止まることがありません。ヨトウムシについては、このブログでも何度も書いていて、自分でも、どこに何を書いたか忘れてしまうのですが、ヨトウムシ自体についての、基礎的な知識は、こちらがわかりやすいです。それに、ここ数年の研究の成果(?)として、ヨトウムシの幼虫は、0.6ミリ目合いのネットをくぐる、ということを付け加えます。
今年の被害の状況をまとめて、今後に生かそうかとも思いましたが、あまりに多岐にわたり、時間がないので、ごく最近のトピックスのみ。
○ひと月ほど前、ゴミ袋をぶら下げて、ヨトウムシ及びヨトウ蛾の卵塊及び「はだけて」(孵化して)群生している葉っぱを回収した、里芋(30M×8列)において、すでに2割ほどしか残っていない葉っぱについた、卵塊及び「はだけている」卵塊を、100個ほど、回収。
○最後の土寄せをした、8月段階からヨトウムシを確認していた、大豆「タチナガハ」、30M×7列ほど、をハンマーナイフかけてトラクターかけて、つぶす。6月21日蒔きで、今年では早蒔き過ぎたのか、ほとんど実が入っていなかったので、これ以上の繁殖をさけるため。同日蒔きの「借金なし」は、実付きもいいし、卵塊爆発も少ないので、静観。
○7月下旬播種の赤キャベツ、ミニカリフラワーをつぶす。「虫見」は、普通キャベツを優先するため、後手に回ったこれらで、卵塊爆発、周辺への影響を考えて。
○9月中旬播種の大根2種、間引き前に、「虫見」すると、多いものでは一株に5,6匹のヨトウムシ。ネット(0・6ミリ目合)の上で、卵塊が爆発したのかもしれない。
○畑に一晩止めてあったトラクターの屋根に、卵塊あり。引っ掛けておいた夫の帽子にも、卵塊あり。
じゃあ、畑に帽子をかけた棒を立てて、ヨトウムシに産卵させればいい、と言ったのは、隣のK農園さん。虫見の熟練者で、このヨトウムシ禍を受けて、キャベツ類を1列30CM間隔植えで、虫見しやすくしているそうです。
K農園さん同様、葉っぱの表面からは、小さな変色した点にしか過ぎない食い跡から、針の先のような弱齢幼虫を見つけて捕殺する作業を、「毎日1本」をノルマにやっていると、「虫体視力」が養われる(と思う)。が、今年は、8月からこの「虫見」を続けているので、「いつになったら、これから解放されるのか」「雨が降って、気温が下がったから、楽になるのか」と弱音も出てくるのですが、そう甘くは無いようで。
客観的な資料として、埼玉県病害虫防除所の情報(一覧はここ)の、9月24日更新の情報を。
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/bojo/data-hasumon-fukaya.html
この、グラフの急カーブを見て、落胆しない人がいるでしょうか。ちなみに、1ヶ月前の情報では、平年の2倍ちょっとだったのに。知人が「東松山以北は、ヨトウムシに制覇されている」といっていたこと、また、東京に配送に行っている仲間が「所沢あたりの里芋畑は、葉っぱもきれい」といっていたこと、から、埼玉県においては、県北では中山間地や耕作放棄地や荒れた人家などで、越冬越夏したヨトウムシが加速的に増殖したけど、県南は宅地化都市化する中でプロの専業農家の農地だけ残っているから、ヨトウムシの爆発が見られない、ということなのかなあ、と考えます。
それで、最近の「エコ野菜」のPRでよく見かけるようになった、「微生物を使って虫を抑える、人体や他の昆虫への影響が無く、環境に優しい農薬、JAS有機でも散布を認められている、特別栽培ではカウントされない」という、BT剤のことを少し調べました。
前述の埼玉県病害虫防除所のこの情報に出ていた、「エコマスターBT」という農薬ですが、メーカーのHPには、
「ミツバチに対して影響があるので、ミツバチの巣箱およびその周辺にかからないようにしてください。」とありました。
色々なBT剤があるようで、素人にはよくわかりませんが、環境への負荷が皆無、というわけではないようです。
やはり、うちらは地べたをはいつくばっていくしかないかな、と確認した次第です。
表1 ハスモンヨトウのフェロモントラップ(深谷市)の旬別誘殺頭数
時 期 6 月上旬 6 月中旬 6 月下旬 7 月上旬 7 月中旬 7 月下旬 8 月上旬 8 月中旬 合計
平成22 年 29.8 53.3 67.1 197.8 282.0 483.0 813.1 856.2 2782.3
平 年 32.2 43.6 74.9 95.8 146.6 224.4 199.9 331.6 1149.1
(5日間移動平均値を半旬ごとに集計した誘殺数)
(合計はラウンドの関係で各半旬を合計したものとは一致しない場合がある)
ハスモンヨトウ誘殺消長 (対象作物:サトイモ 調査地点:深谷市山河)
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
6.1半旬
6.2半旬
6.3半旬
6.4半旬
6.5半旬
6.6半旬
7.1半旬
7.2半旬
7.3半旬
7.4半旬
7.5半旬
7.6半旬
8.1半旬
8.2半旬
8.3半旬
8.4半旬
8.5半旬
8.6半旬
9.1半旬
9.2半旬
9.3半旬
9.4半旬
9.5半旬
9.6半旬
10.1半旬
10.2半旬
10.3半旬
10.4半旬
10.5半旬
10.6半旬
11.1半旬
11.2半旬
11.3半旬
11.4半旬
11.5半旬
11.6半旬
4~12月(第1半旬~第6半旬/月)
誘殺数/半旬毎
平年(過去10年) H21年H22年
5日間移動平均値データ
表2 ハスモンヨトウのフェロモントラップ(熊谷市)の旬別誘殺頭数(参考)
時 期 6 月上旬 6
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