1週間ほど前に、撮ったうちの小麦の写真です。毎年、畑の片付けや作業の遅れなどでぎりぎり蒔きつけるのですが、今年は後口の方も11月中に発芽して、「道楽」「酔狂」の麦つくりとはいえ、ほっとしました。
5畝くらい(5a、500平米)で、自分のところの麦、2キロくらい使いました。標準は、1反(10a)あたり8~10キロ、らしいので、半分くらいしか落ちていません。よその畑を見ると、なるほど、もっと狭いうね間で2列ずつ蒔いてあり、もっとずっと育っています。薄蒔きの方がよく分けつするんだ、と、言い訳したりして。でも、この時期、すっと伸びた芽が列を成して何本も並んでいるのはとてもかわいいものです。
さて、一応うちは農家資格を持っていて、JAの組合員なので、「農事」の回覧板がまわってきます。先日のJAふかやの会報に、管区内に3つの集落営農組織ができた、という記事が載っていました。
日本農業新聞に取り上げられた記事が、同JAのサイトから読めます。10月5日です。
http://www.ja-fukaya.com/kawara/index1.html
「良質小麦の産地として有名な県北地域で、寄居町の男衾営農組合、深谷市の幡羅営農組合と川本営農組合が誕生。22の地域、221の農家で、258ヘクタールの小麦生産に取り組む・・・」
うちは、男衾地区ですが、夏場の敷きわらにする麦ワラは、隣接する元・川本町(現深谷市)で、米麦を作っている農家からもらっています。担い手になるか集落営農組織に入らないと、個人での小麦生産は成立しなくなるのではないか、というおそれもあり、この「担い手育成・品目横断的経営安定対策推進」には関心を持っていたのです。(12月2日の記事参照)
男衾地区では、2、3軒認定農家がいるようですが、大半は、兼業の1ヘクタール未満の小規模な麦作です。小さな生産者をまとめるために、JAが全面的にバックアップしての、組織の成立だったのだろうと推測します。
そして、集落営農組織というのは、費用負担から販売精算まで一元化した経理を行う、ということなので、JAとしては、今まで個人でバラバラに購入していた肥料や農薬・資材などが組織として一括購入されるから、その労苦も報われる、ということでしょうか。
元・川本町の農業資材店「こいけや」さんは、そのあおりで、この秋の売上げがずい分減ったそうです。こいけやさんは、米麦大豆の集荷もやっているので、この「担い手」政策も勉強したそうですが、組織作りとかえらく複雑怪奇で、途中で断念したとか。
夫は、近所の元大地主で畑で小麦を作っている農家の息子さんから、集落営農に入れた、という話を聞いていました。超立派なトラクターを持っている農家(息子さんはお勤めですから、兼業ですね)さんですが、農業機械の共有とかは、どうなっていくのでしょう。
この辺は、お米が取れにくいから、麦が家庭の主食でした。その麦が、家庭の手から遠くはなれて、グローバリズムの波にもまれて、いったいどうなっていくのでしょう。毎日、畑仕事で疲れたあとでも、家族のために、うどんを打っていた、女たちの思いはどこへ行くのでしょう。
このところ身辺に色々なことがあり、感傷的になってしまいました。
畑に育つ麦は、かわいいです。
こんにちは。
そもそも、この政策は農家への直接所得補償の条件付けとして、始まったと解釈していました。兼業農家にまで「集団営農」で補償されるんですか。趣旨が違うような気もしますが、まぁそれでもいいですが。
いずれにしても、4haとかの数字は私でもクリアできません。こちらの集団営農については、情報を探してみます。
投稿情報: とりのさとZ | 2006/12/14 17:28
兼業であっても、継続する農家がいることで、「国土の荒廃」が免れてきた部分は大きいと思います。
ただ、いまでさえ、あちこちでボロボロと崩れている「田園・風土」が、この政策によってどっちに動くのか、でしょうか。
自分が先祖から受け継いでき土地だから、「お金にならないけど」維持していたのに、集落営農の「オペレーター」がひとの田畑まで面倒見切れるのか。ただの生産手段ではない、風景としての田畑の全体を考慮できるのか。
そういう感傷的な問題と共に、
日本農業新聞のサイトに、「税制改正与党案 担い手特例盛る/14日大綱決定[2006年12月14日付]」というのが、チラッと載っていましたが、
「品目横断的な経営安定対策などの交付金に対する特例措置の創設は、「担い手支援」として自民党農林部会や農業団体が強く要望していた。交付金を受ける認定農業者や集落営農組織などの担い手に対し、新しい準備金制度をつくる」そうです。
こういう、生臭いこともあるわけで。
投稿情報: とびら | 2006/12/15 05:59
野の扉さんの小麦よりおいしい小麦は今まで一度も食べたことがありません!今の価格の3倍になっても私は自分の教室のため、そして家族のために野の扉の小麦を使いたいと思っています。だいたい農協で売ってる小麦と同じ価格なのがおかしいんです。生徒さんは、他の地粉で作ると同じ味にならないと皆さんおっしゃいます。私は自分で作物を作れるわけでもなく、専門知識もなく、お恥ずかしいかぎりですが、食べた時に必ずわかることというのは絶対にあると思っています。どうかもう少し価格をあげて販売してください。
投稿情報: 調理係 | 2006/12/20 18:13
白崎ふくろう城
http://www.shirasakifukurou.jp/
の調理係様、コメントありがとうございます。
「農協で売っている小麦」が売れないと、農協の製粉所がつぶれて(この10年で、周辺のところがいくつかなくなっています)、製粉機を自力で購入しなくてはならなくなります。
農協のインフラは、続いてもらわないと困るのです。
「他の地粉で作ると同じ味にならない」としたら、調理係さんの「オーラ」のなせるワザかと、思うのですが。
価格を上げるより、調理係さんの「オーラ」に、小麦作りを応援していただいているほうが、ずっと励みになります。
今後ともよろしくお願いします。
投稿情報: とびら | 2006/12/21 05:16